タイドラマ「When the Sky Falls」（2022年）One31 おすすめ キャストとあらすじ

おすすめ度：★★★★☆　大富豪の遺産相続をめぐる西部劇風サスペンス

One31のタイドラマ「When the Sky Falls」（2022年）を見ています。20世紀後半のタイで、大富豪サラユタピチャイ家の遺産相続をめぐる兄と妹の物語。巨大な農場を経営する一家の当主を相続する予定の兄テワラットと、亡き父の遺言により時が来るまで農村で身を隠すように言いつけられた妹チョンプー（サリカ）。2人は子どもの頃に生き別れ、再会を約束するも、大人になった2人の実際の再会は夢に描いたものとは程遠かった。傲慢でとんでもなく嫌なヤツに成長したテラワットと、時が来るのを待つ才色兼備のチョンプーとの間で不毛な抗争。しかし、その背後には叔父の壮大な乗っ取り計画があった…そして、どういうわけか西部劇風なドラマ。ドラマチックな展開がおもしろいです。

タイドラマ「When the Sky Falls」はOne31の公式YouTubeチャンネルで無料で見ることができます。字幕は英語のみです。

サラユタピチャイ家の財産相続

大富豪の相続問題は韓ドラの王道ですが、韓ドラの影響を大きく受けているタイドラマでも遺産相続はなかなかどうしてドキドキハラハラの物語が多いです。

この「When the Sky Falls」は、サラユット・サラユタピチャイ陸軍将軍（＊英語でジェネラルと呼ばれている軍の位。日本語で何と訳すのがいまいち不明）のバンコクの豪邸と郊外にある広大な農場が舞台で、牧場（酪農）経営をはじめいくつかのビジネスが動くサラユタピチャイ家の財産相続を巡り、亡き当主・サラユット将軍の遺言状が1974年に公開されるまでの波乱のドラマ。

兄テラワット役を演じているのは傑作BL時代劇「Khun Chai / To Sir, With Love」のフィルム・タナパット・カワリ（Film Thanapat Kawila）。妹チョンプー（サリカ）役は、プラン・カンナルン・ウォンカジョーンクルアイ（Prang Kannarun Wongkajornklai）。2人はサラユタピチャイ家の兄妹。しかし、これが少し複雑でややこしい…。

複雑なサラユタピチャイ家の兄妹関係

サラユタピチャイ家の長男テラワットは、実は叔父ピタック（サラユット将軍の実の妹の夫）が外で作った婚外子で、サラユット将軍の温情で養子に入った子ども。一方の娘チョンプーはサラユット将軍と血のつながった本当の娘。

しかし、サラユタピチャイ家の莫大な財産の乗っ取りを目論む叔父ピタックが、殺し屋を使ってサラユット将軍と幼いチョンプーを奇襲し、殺害。それにより、本当は自分の婚外子であるテラワットを未来の当主として叔父の立場から保護者として育てあげ、1974年のサラユット将軍の遺言状公開をビクビクしながら待っている。

一方のチョンプーは、奇襲攻撃を受けた際に、サラユット将軍の側近の手で密かにその場から助け出され、身を隠すために田舎の村で「サリカ」と名を変えて静かに暮らしながら、1974年の遺言状の公開とサラユタピチャイ家の奪還を待っていました。

そのサリカの前にある日突然現れたテラワット。サリカは名前を聞いてすぐに兄だとわかりますが、その変貌ぶりが甚だしく幻滅。それでも少しずつ当主相続の日に備えて傍若無人に振る舞うテラワットと、幼い頃の優しい心のままのテラワットがいることに気づき、チョンプーではなく「サリカ」として徐々に距離を縮めていく。

叔父ピタックの不正会計疑惑

サリカは1974年の約束の時が来るまで、自分が幼くして命を落としたとされる妹チョンプーであると明かせぬまま、「サリカ」としてサラユタピチャイ家に足を踏み入れるのですが、そこからがこのドラマの第二幕。

叔父ピタックの不正会計問題を巡り、サラユタピチャイ家の預金通帳の管理を任されたサリカは、横領の記録を見つけ、それを徐々に明らかにしていきます。でもそれは同時に、財産の乗っ取りを企てる叔父ピタックに、テラワットとサリカの命が狙われるということでもあり…。

一方のテラワットは酪農経営を学ぶためにデンマークに留学中。そんなテラワットは、ピタックが女性を弄んだ挙句に捨てて家を出る悪夢を繰り返し見ており、ピタックが出てくることを不審に思い始めます。サラユタピチャイ家の血が流れていないただの叔父であるはずのピタックが、実は自分の本当の父親とはまだ知らないテラワット。

このドラマを見ていて思うのは、悪いヤツはどこまでも悪い！カネに執着するヤツはどこまでもカネ、カネ、カネ！一番の悪党は、テラワットの実の父親で「叔父」としてテラワットを財産乗っ取りの道具として利用しようとしているピタックですが、どこまで行っても悪知恵が働き、とことん騙すことと復習することしか頭にない…。

残念ながらピタックがどうしてそういう大人になったのか若い頃の背景については描かれていませんでしたが、チョンプーの叔母で妻ピクルを手玉にとって、サラユタピチャイ家に転がりこんだところから、着々と計画が進んでいたというのはなんとも怖いですね。

そして、とにかく殺す…自分の進む道に入ってくるものは「取り除く」という表現がありましたが、罪のない人がどんどんピタックの手によって消されていきます。恐ろしや。

テラワットとサリカの糸電話

それでも唯一の救いは、テラワットとサリカがどんどんいい感じになっていくところ！テラワットも、いつしかサリカが死んだはずの妹チョンプーなのではないかと疑い始めますが、それでも確証がないまま、サリカを好きな気持ちと、チョンプーであればこれ以上どうにもできない葛藤との間で悩むように。

サリカも、本当はチョンプーだと言いたいのだけれど、遺言が公開される約束の日までは言えない辛さを抱え、微妙な関係のまま距離が縮まっていく…。

まさにこの状況を表すかのように、テラワットがチョンプーと子どもの頃に遊んだ「糸電話」を持ち出してきて、互いの部屋を行き来することなく会話するシーンは天才としかいいようがない！

1974年、遺言状の公開の日

遺言状の公開の日、この日は遺産相続をするのが誰なのかが明らかになる日。ということはつまり、テラワットが自分の出自について、隠された事実を知ることになる日でもあります。

この日サリカが全てを話すであろうことは大方予想がついていましたが、チョンプーの死後、これまでサラユタピチャイ家唯一の相続人として家を守ってきたテラワットは一体どうなってしまうのか…。

ピタックが用意したフェイク・サリカまで登場し、サラユタイピチャイ家の家族会議は大変なことに…。キレたピタックの暴露で、自分にはサラユタピチャイ家の血は一滴も流れていないと知ったテラワット…。

それでも毅然と自分が正統な後継者であると証明したサリカ…。

そして流れる血…。お金持ちって大変…。

血縁だけが家族のつながりじゃない

テラワットがサラユタピチャイ家の正統な後継者かどうかという点は、イエスでもありノーでもありますが、すでに生まれた時から20年近く、養子として育てられてきたのだから、そのままサラユタピチャイ家をついだとしても何も不自然なことはない気がします。

ピタックの財産乗っ取りを阻止するために本物のチョンプーとしてのサリカの存在は不可欠だったけど、最終的には「家族とは血のつながりだけがすべてなのか」という根本的な問いにサラユタピチャイ家が向かっていく。

とはいえ、最後には大人になったテラワットとサリカが結婚して本物の家族になるので、その意味では血が繋がっていくのですが、でもそれでも他人同士が結婚して家族になることを考えれば、絆が家族を作るような気も。そんなことを考えたタイドラマでした！

One31のタイドラマ「When the Sky Falls」は、フィルム・タナパットのキラキラ輝く表情と演技に引き込まれること間違いなし！毎回ドキドキの展開に釘付けになるおすすめのドラマです！

あわせて観たい作品

タイドラマの恋愛サスペンス時代劇といえば「Beyond Destiny」もとてもおすすめ。主人公ブンガをめぐり、２人の男が運命の愛を求めて奔走するドラマチックなストーリー。1946年という時代背景もあり、レトロな衣装と舞台セットも見どころのひとつ。