One31のタイドラマ「Khun Chai / To Sir, With Love / クンチャイ」(2022年)は、タイの中国系移民・宋家とその一族が主人公のドラマです。時代設定は1900年代の半ば、ちょうど太平洋戦争下で日本がタイを軍事占領していた頃ですが、ドラマで描かれている世界でも、現在のタイ社会でも、中国系タイ人の活躍と成功は目に見てわかるほど。ということで、クンチャイにみるタイの華人について少し調べてみました。
バンコクのレストラン情報サイト「バンめし」さんに中国系タイ人のルーツに関するおもしろくてわかりやすい記事を見つけました。
クンチャイの時代設定が太平洋戦争時の1941年頃なので、「1851-1957年の中国系移民流入時代」の終わりがけの時期にあたるくらいでしょうか。主には東シナ海沿岸のエリア、福建省、広東省、海南省からの中国系移民が東南アジアのなかでもタイを移住地に選んでやってきているんですね。第二次世界大戦や移民政策の変化(出生地主義で国籍を与えるなど)もあり、多くの華僑がタイに帰化したそうです。なのでドラマ「クンチャイ」でも宋家は土着化し、タイ社会に溶け込みながらも、中国系のアイデンティティを一族で守り続けていたんですね。
ただ、これより以前にも中国系移民の交流と移住は始まっており、歴史的にはスコータイ朝の時代にすでに中国人が王朝に定住して中国文化を伝えていたそうです。ついで貿易で栄えたアユタヤ朝時代にも、それ以降の王朝にも中国系タイ人のルーツはあるようです。要するに中国系移民のルーツは深く、今に続くタイの社会を形成する重要な要素の一部なんですね。
タイドラマ「クンチャイ」では宋家が会長を務める商人協会「五龍会」が、いくつものビジネスを束ねていました。現在のタイでも、企業集団の「財閥」が大きな影響力を持っています。タイには王族系財閥もあるそうですが、財閥の多くは中国から渡ってきた華僑や華人たちが作り上げたものが多く、まさに「クンチャイ」の世界。
ちなみにタイで「セブンイレブン」を経営する大手企業CPグループも中国系タイ人の家系なんだそうです。CPグループは1921年に中国出身の謝(チャラワノン)一族がバンコクで植物の種売買から事業をスタート。太平洋戦争が始まる前のタイで、ちょうどタイドラマ「クンチャイ」の時代背景に近い頃ですね。CPグループは現在では30万人の組織をまとめるアジア最大級のコングロマリット企業に成長しており、ビジネスは食品、小売り、資料、通信、不動産、石油など多岐にわたり、世界17カ国で事業を展開。 傘下にはタイ国内1万店舗を誇るセブンイレブン、通信事業のtrueなどがあります。
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