おすすめ度：★★★★☆ この世界に生きる奇跡を感じる素敵なドラマ
GMMTVのタイドラマ「Love Beyond Frontier / 地平線を超えた愛」（2019年）を観ました。香港に暮らす青年ワンはある日、中国人の父親を亡くし孤独の身に。これを機にワンは香港からバンコクに渡り、生き別れとなっていたタイ人の母親を探す旅に出る。バンコクのスワンナプーム国際空港に到着してすぐに女の子とキスしてしまったり、母が住んでいるはずの住所に行ったら不審者と誤解されたり、たくさんのハプニングに遭遇しながら、母の所在へと歩みを進めるストーリー。クリス・ピーラワットがタイ語の話せる中国人（タイ人とのハーフ）の役に挑んでいます！
GMMTVの公式YouTubeチャンネルで無料配信
タイドラマ「Love Beyond Frontier / 地平線を超えた愛」は、GMMTVのYouTubeチャンネルで無料配信しています！英語のほかに日本語の字幕もあります！YouTubeだと動画埋め込みのCMと、YouTube上のCMが両方出るので最初はちょっと…と思っていたのですが、今では逆にタイでテレビを見ているような感覚で見ることができるので、こっちも悪くないかもと思います。これはもう見るしかない！
メインキャストはGMMTVの人気俳優：クリス＆ニュー
タイ人の母親を探す旅に出た中国人の青年ワン役を、大人気俳優のクリス・ピーラワット・シェーンポーティラット（Krist Perawat Sangpotirat）が演じていて、勉強してタイ語が完璧ではないけどある程度自由に話せる設定。同時に母国語の中国語も出てきて、なんだかおもしろい展開。中国文化と融合するタイっぽくて素敵です。
しかし、難点を上げるとすると、ワンは香港出身なのになぜか北京語（標準語）を話しているんです。香港なら広東語のはず！
バンコクで生まれ育ったウィン役のニュー・ティティプーン・テーシャアパイクン（New Thitipoom Techaapaikhun）は、このドラマでは天真爛漫なはじけた感じで、「Dark Blue Kiss」など他のドラマで見る落ち着いた聡明な感じのいつものニューくんとは少し違う雰囲気。
お母さん大好きのおぼっちゃまくんで、少々マザコン気味なところも。幼なじみの女の子プルに切ない片想いをしていますが、当のプルはワンに夢中。そこが気に入らなくて、ワンに意地悪ばかりしてしまう。
母親が住んでいるはずの家に
ワンが持っていた母親の情報は昔受け取った手紙の住所。香港からバンコクへとやってきたワンは、そこに書かれていた場所に向かいますが、母親はすでに引っ越しており、現在は別の若い女性パットが。
最初は不審者扱いされてしまいますが、他にいくところがないワンは母親の手がかりを探すためにその家に住ませてもらうことに。
パットがワンを連れて、トゥクトゥクに乗って王宮やワット・アルンなどバンコクの市内観光に出かけるシーンもあります。そう、ワンはもう完全に外国人！ウィンとプルと4人でアムパワー水上マーケットにも旅行に。とにかくタイの観光名所がたくさん出てきて旅行気分でワクワク！
と思っていたら、タイ観光局でドラマのロケ地紹介がありました！特に、第8話に出てくるシーチャン島のラーマ５世が建てた桟橋と恋の願いごとがかなう神社はすごく雰囲気がいい！
アップルゲストハウスでのすれ違い
しかし、男を家に泊めていることを知ったパットの母親は激怒し、住宅の賃貸契約を解消。パットに地元チェンマイに帰るようにいいます。住むところがなくなったワンとパットは結局、プルが経営するアップル・ゲストハウスに入居することに。
そこにはウィンも入居しており、4人の共同生活が始まります。旅ブロガーのパット役はナムタン（Namtan Tipnaree Weerawatnodom)、ゲストハウス経営のプル役はジェーン（Jane Ramida Jiranorraphat）が演じています。
しかし、このゲストハウス、すれ違いが多い！ウィンはプルが好きでたまらないのに、親友だからこそ近くにいて遠くに感じて「冗談」でしか好きだと言えない…。
一方のプルは、香港に留学したことがあり、ワンに夢中ですが、その気持ちはワンには届かない…。
ワンはバンコクに来て最初に優しくしてくれた友達パットのことが気になるけど、パットはその気がないという…。
誰かが誰かに片想い
そして、この４人のすれ違い、シリーズが進むにつれてますます複雑に変化していきます。プルがワンに恋する気持ちは最初から最後まで変わらないものの、ワンの気持ちは次第に自分に優しく接してくれるプルに惹かれていく。
しかし、ウィンがプルを好きだと知っているし、タイには恋をしに来たのではなくまだ見ぬ母を探すため、それにビザが切れれば香港に帰らなければならない。
パットは自分のオンライン小説のファンだという男性にチャットで知り合い、徐々に心通わせていくが、実はその相手がすぐ隣にいるウィンだと知らぬまま、ウィンへの気持ちを伝えてしまう。
当のウィンは当惑しながらも、プルが自分の気持ちを受け入れてくれないことに悩み、苦しむ… こんなにも純粋に誰かを好きだと思う気持ち、どこかに忘れてきちゃったなと、見ていて思います…。
そんななか、オープニングと劇中歌で流れるクリス・ピーラワットが歌う「Love Beyond Frontier / 地平線を超えた愛」のOSTは、ドラマのコンセプトに合わせてしっとり。どことなく中国語のポップスっぽくて非常にムーディ。
ストーリーは全体的にコメディで明るく楽しいのに、片想いの切なさと亡き人を想う哀愁が漂う絶妙なバランスの作品です。GMMTVでクリス・ピーラワット主演作品にハズレなし！
友情も恋愛も家族愛も
このドラマの最も素敵なところは、ワンのまだ見ぬ母親探しを、プル、パット、ウィンの３人がいつのまにか自分のことのように本気になって手伝うようになるところだと思います。
その過程で仲良くなって、友情が深まったり、恋心を抱いて傷ついたりもしますが、結局、誰かが誰かを思う気持ち、それが大事なのであって、それが好きな人でもいいし、両親・兄弟でもいいし、友だちだっていい。
それが仲間であり、恋人であり、家族。大きな愛に包まれれば、血のつながりだって本当は関係ないのかもしれない。
そういうのって、当たり前だと思っていても、本当はそう簡単じゃない。自分の思いと誰かの思いがまったく同じってこともない。
その現実に直面した時は、受け入れるのにも時間がかかるし、心が傷つく。それでも自分を探してくれる誰かがいるとしたら、そんな素敵なことはないと思う。
人間生きていれば、思い通りにいかないこともたくさんある。やっとの思いで出会った人と別れることだってある。そうしたいと思っていなくても、自分ではどうにもできずにそうなってしまうこともある。
好むと好まざるにかかわらず、時間はただただ流れる。時間が経てば解決することもあれば、そのせいで複雑になってしまうことだってある。でも、最後は受け入れて、前に進んでいくしかない。
距離だってそう。近くにいても遠くに感じることがあれば、どんなに離れていても心が通じていることだってある。それを感じることができた時、人は本物の愛を感じるのかな。
GMMTVのタイドラマ「Love Beyond Frontier / 地平線を超えた愛」は、いろんな形の愛について考えされられるとても素敵なドラマです。
ワンの時間と国境を超えた母親探しから、この世界に生きる奇跡を感じることができるおすすめの作品です。
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