タイBLドラマ「The Eclipse」(2022年)GMMTV おすすめ!キャストとあらすじ

おすすめ度:★★★★☆ 謎の転校生と生徒会長の謎解きサスペンスBL


GMMTVのタイドラマ「The Eclipse」(2022年)を観ました!私立男子校のスパロー高校を舞台に、謎の転校生アーヤンと「パーフェクト・クラブ」で生徒会長を務めるアックのサスペンスBLドラマ。「皆既日食の日、校則を破った者に呪いがかかる」とされる「スパローの呪い」は本当なのか…。規律の厳しい学園で過去にいったい何があったのか…。アーヤンとアックは知られざる学園の深い闇に挑んでいく。


アーヤンの転校に隠された謎

転校生のアーヤンは、転校したその日から普通の生徒とは少し違っていた。学校の規律や教師の指導にはいつも反抗的。その態度の悪さは教師陣にも目をつけられ、すぐに問題児扱いを受ける。アーヤンがそこまでしてこの学校にこだわる理由は何なのか。アーヤンが大事にしているノートには何が記されているのか。このドラマのストーリーは、アーヤンの転校からはじまる。


転校初日、教室で席についたのは生徒会長アックの隣。そこからアーヤンはグループ課題や柔道の居残り練習などを通して、アックと徐々に距離を縮めていく。そんなある日、体育の授業中に更衣室のロッカーから盗まれたアーヤンのノート。一体誰が何のために盗んだのか…。アーヤン役を、カオタン・タナワット・ラッタナキットパイサーン(Khaotung Thanawat Ratanakitpaisan)が演じています。


成績優秀で完璧なアック

成績優秀な生徒しかメンバーになることができない「パーフェクト・クラブ」(生徒会と風紀委員会を兼ねたようなクラブ)で、リーダーを務めているアック。生徒代表であるとともに、生徒たちの模範生徒「ストゥーデント・パーフェクト」として、学校での規範遵守に努めている。パーフェクト・クラブを指導している先生たちとの連絡役も担当し、とにかく優秀でまじめ。それがアーヤンとの出会いで少しずつ変化していく…。


アーヤンはアーヤンで問題を抱えていますが、アックもアックで実は学校で起きた不可解な事件に関わっていたりと、徐々に「まじめで優秀なアック」だけではない部分のアックもでてきます。そんなアック役を、「The Shipper」(2020年)のファースト・カナパン・プイトラクーン(First Kanaphan Puitrakul)が演じています。


ちなみにですが、このドラマ中、寮の部屋で仲のいいクラスメイトとハジけるアックがカオタン(アーヤン役)の持ち歌(カオタンがメインキャストのひとりで出演している「55:15 NEVER TOO LATE」(2021年)の主題歌)を楽しそうに歌うシーンがありますのでお見逃しなく!


スパロー校の呪い

この学校には「皆既日食の日、校則を破った者に呪いがかかる」とされる「スパローの呪い」が言い伝えられている。生徒たちは半信半疑ながらもその呪いを恐れ、教師たちやパーフェクト・クラブの指導に従っている。実際、突然植木鉢が落ちてきたり、物置が血まみれのように赤いペンキで汚されたり、不可解なことが起きている。


しかし、こうした現象のいくつかはアックが関与していたものだった…。スパローの呪いなど存在しないと主張するアーヤンは、アックのパーフェクト・クラブのリーダー就任と不可解な事故がリンクしていると追及するが…。そして、このあたりからアックの心境にも大きな変化が。そう、徐々にアーヤンのことが気になりはじめる…。


ディカ叔父さんの死

アーヤンの転校の理由、それはスパロー校で教師を務めていたディカ叔父さんの死の真相を追及するためだった。子どもの頃からアーヤンを可愛がっていたディカ叔父さんは、なぜ死ななければならなかったのか。ディカ叔父さんの死には、パーフェクト・クラブを指導するチャードック先生が関係しているのか。終盤に向けてこのドラマの焦点が少しずつ絞られていく…。


「あのノートはある人の思い出なんだ」と、ある夜ビーチでアックに打ち明けるアーヤン。最初はノートを見つけてアーヤンの転校の企みを暴き、退学に追い込もうと考えていたアックだったが、涙ぐむアーヤンを見て「弱いところを見せたっていい」とそっと励ます…。アーヤンとアックの間に芽生える絆と友情を超えた感情が、美しい浜辺の風景や柔道のシーンとともに情緒豊かに描かれています。


校則、規律、ルールは絶対なのか

スパロー校で、とにかく規律を破ろうとするアーヤンは一体何と戦っているのか。逆に、アックは規律に従うことで何を守ろうとしているのか。スパロー校の「校則」であり、集団生活の「規律」であり、特定の社会での「ルール」であるのが、いわゆる「社会規範」。生徒指導としてこの規範に従うことを教師の「権力」で強要するチャードック先生。ドラマ冒頭から描かれるスパロー校の規律の厳しさが、徐々に組織的な支配とコントロールへと変わっていく…。


その大きな引き金になるのが、学校の指導に反発する「The World Remembers」の3人が呼びかけたストライキ。しかも抗議活動の最中に脅しの垂れ幕が降りてきて、その情報はSNSでまたたくまに拡散されてしまう。この動きを知った校長は、ストライキの実施を何としても防ぎ、メディアにも絶対に情報が漏れないようにとチャードック先生に指示するが…。


ここがおそらくこのドラマで読み解かなければならない大事なポイントなんじゃないかと思います。というのも、事態はまるで、政治的に権力を持つ体制による反体制派の抑圧のように強烈に描かれているからなんですが…。


体制側の支配下ではさほど自我を持って行動していない生徒たちまでもが、反体制派の3人に影響されて徐々に大きな波を起こそうとする。その媒体となっているのが自由なコミュニケーションツールのSNS。そこに権力が介入する言論の統制。なんとも、今のタイ社会の政治的な衝突、国軍や保守勢力と民主主義の対立を投影しているようにも見えてきます。


でもって、スパロー校の生徒たちが求めるのは理にかなった規則であり、誰もが納得できる規範。「スパローの呪い」の下での恐怖による支配ではないし、理由もわからないまま誰かに強要される不自由でもない。そして何より重要なのは、疑問に思うこと。規律への絶対的な服従(支配への従属)は自分が望むものなのかと問いかけ、自分なりの答えを持つこと。ただ盲目に規則に従うだけでは、その答えは見えてこない。


カンとトゥアの物語

アーヤンとアックのサイドでサブCPとしてストーリーが進んでいくのが、アックの親友カンと学級委員のトゥア。カンは最初、自分がトゥアに惹かれていることにも気づかず、気づいてもすぐには受け入れられなかったが…。母親の再婚相手(継父)とのぎくしゃくした関係に悩むトゥアを側で見守るうちに、次第に想いが強くなっていくカン。トゥアもそんなカンの気持ちにはなんとなく気づいていた。


そして、迎えた浜辺でのキャンプのシーン!朝日が差し込むテントで、カンは隣で眠っているトゥアにそっとキスをする。何もなかったように寝返りを打つカン。実は、寝たふりをしていて本当は気づいていたトゥア。お互い「気づかないフリ」をする思いやりがなんとももどかしく、いじらしい!このシーンは傑作です!


前髪がなんとも言えずかわいいトゥア役を演じているのが、ルイ・タナウィン・ティーラプーコーソン(Louis Thanawin Teeraphosukarn)、カン役はニオ・トライ・ニムタワット(Neo Trai Nimtawat)。この二人は同じくGMMTVのタイドラマ「Fish upon the sky / 空の上の魚」(2021年)でも、デュアンとミーンとしてサブCPを演じていました!このドラマもめちゃくちゃおすすめです。


恐怖による抑圧とコントロール

The World Remembers の3人が計画した抗議集会は予定通りに行われ、チャードック先生にひどく叱られるアック。その様子を見ていたアーヤンは、スパロー校のシステムが間違っている、ディカ叔父さんはこの学校のせいで死に追いやられた、と訴える。ここからドラマは一気にクライマックスへ…。


抗議集会に参加した学級委員のトゥアは、教育者の権威で生徒たちを押さえ込もうとする教師たちに、The World Remembers とともに声を上げる。トゥアは、ディカ先生(アーヤンの叔父さん)の自殺を隠すために学校は日食を利用し、スパローの呪いをでっち上げた、と…。そして、パーフェクト・クラブにその呪いへの恐怖を煽らせることで、生徒の行動を管理していると…。


そこで一気に明らかになるのが、ディカ先生とチャードック先生の関係!二人はかつて恋人同士で、結婚して一緒に暮らすはずだった。しかし、それを知った校長が「生徒のロールモデルになるべき教師としてあるまじき行為」と厳しく叱責。チャードック先生はスパロー校に残り、ディカ先生は別の学校へと移ることになったが、二人の関係に思い悩んだディカ先生は自殺。その思いの全てを、アーヤンが持っていた日記に記していた…。


ダイバーシティと人権

このドラマ、最初はサスペンス仕立ての学園ドラマかと思っていたら、後半に入ってからというものなんとも社会的、政治的な含意のあるシリアスで深い展開に!メインキャストではないものの、Openly Gay な3人でつくるThe World Remebers の存在が、差別と偏見に満ちた「生きにくい社会」で勇気を持って声を上げているLGBTQの人たちを代弁しているように見えてきます。実際、ドラマの中でもこの3人は、抗議集会でダイバーシティ(多様性)や人権の尊重を訴えています。


タイBLドラマにもいろいろあって、ざっくり言うと、「BLが当たり前の世界」でのBLを描いた楽しくてハッピーな作品もあれば、「BLがタブーの世界」での悲恋を描いたBL作品もある。今の世界は間違いなくこのどちらでもない中間の世界。このドラマはそんな白黒はっきりできない複雑な世界を、厳格なスパロー校に投影して描いている。


学校や社会が「保守」でも「革新」でも、どちらが正しくどちらが間違い、ということはない。でも、もし人の「命」が奪われるとしたら、話は別になってくる。大切な人の命を守るため、学校や社会がしなければならないこと、それは傷つけられた人たちの「権利」を守ることしかない。ジェンダーに関わりなく、大切に想う人のことを好きだと言える社会をつくるために。


…といったことを延々と考えていくと、このドラマの何と深いこと!メッセージ性が非常にクリアで、強い。こんなドラマが民間の力で制作できるタイって、本当にすごい!ぜひ多くの人に観てもらいたいおすすめのタイドラマです。


Over The Moon

このドラマのOST「Over The Moon」を歌っているのもカオタン。太陽が月に覆われて見えなくなってしまう「皆既日食」がタイトルになってるだけあって、「月を超えて」「月の向こうに」の歌もなんとなくミステリアスで余韻が残る雰囲気。「呪い」の日食だって、月の向こうにはいつもと同じ太陽があるんだし、天体の動きがわかれば何も恐れることはないですからね!カオタンは力を抜いた感じの歌がすごく上手。もちろんMVはファーストもね!


あわせて観たい作品

このドラマ「The Eclipse」(2022年)に雰囲気の似たドラマが、同じくGMMTVのタイドラマ「Blacklist / ブラックリスト」(2019年)。こちらは大人気ナノンが行方不明になったままの姉を探しに、規律の厳しい名門校にやってくるストーリー。学園で起こる不可解な出来事に、ナノンとクラスメイトたちで作る「ブラックリスト」というグループで挑むサスペンス。学校なのに怖い。

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