おすすめ度:★★★★☆ 航空業界が舞台のキュートすぎるBLドラマ
U-NEXTでJINLOEのタイドラマ「What The Duck / ホワット・ザ・ダック」(2018年)を観ました!ありそうでなかった航空業界を舞台にしたBLドラマ。CAを目指していたものの合格できずに飛行機のケータリング会社に就職したポップと会社の先輩オートが、ケンカしながらも少しずつ「かけがえのない存在」になっていくお仕事系BLストーリー。キレイ好きなポップはアヒルが大好き!細かいところまでキュートすぎる作品です。とってもおすすめ。
パンティップ掲示板で有名になった小説
ドラマの毎回エピソードの最後に「パンティップ掲示板で有名になった小説 原作:センペット(つまらないアヒル)」と出るのですが、パンティップ(Pantip.com)というのはGoogleやYahoo! のようなウェブサイトで、外資系ではなくタイ国内で唯一のサイトなんだそうです。どんなサイトかというと1996年に運用が開始された国内最大の巨大な掲示板サイト。そこで有名になった小説ということなので、日本でいう「2ちゃんねる」から出た「電車男」みたいな感じですね。
ちなみにタイで「パンティップ」といえば、バンコクにある巨大なIT系のショッピングモール。少し前までパソコンやスマホ、アクセサリー、ガジェットを買うならココ!というほどでしたが、今はもう以前の姿はなくなってしまいました。
「原作:センペット(つまらないアヒル)」とありますが、主人公のポップはアヒルが大好き。Tシャツも文房具もスリッパもマグカップもすべてアヒル。ドラマの中で、ポップが使っているスキンケアグッズを買うとおまけでついてくるからどんどん増えたとポップが言うシーンも。
広告スポンサーにもなっている会社の商品ですので、放送当時は本当にアヒルグッズがもらえたのかも?というわけで、ドラマを通してアヒルがたくさん出てきます。
新入社員ポップと先輩オート
CAの採用試験に不合格となり、ケータリング会社に就職したポップ役を演じているのが、オー・プワナイ・セーンワン(O Puwanai Sangwan)。ポップは子どもの頃から飛行機が大好きで、飛行機に乗って仕事をするのが夢でCAを目指していましたが不採用に。それでも飛行機のそばで仕事がしたいと、機内食の配送サービスをする会社で社会人生活をスタートし、働きながらCAの採用試験の勉強を続けています。
ポップが就職した会社の先輩オート役を演じているのは、ストロング・チャルンチャイ・カンティチャイカチョーン(Strong Charoenchai Khantichaikhajohn)。オートは子どもの頃に母と死別し、父親に捨てられ、お寺で育てられた苦労人。「俺には学歴がない」とポップに話すシーンがありますが、英語が読めず、英単語はすべてアルファベットのまま読むカワイイところも。会社では契約社員からスタートして、月1万バーツの安月給でいつもお金がない。
賭けから始まる恋
いつもお金がないオートは、金欠のピンチを乗り切るため、借金している会社の同僚とポップを口説き落とせるかどうか賭けをしたのがすべての始まり。最初は借金をチャラにして、さらに掛け金6000バーツを手に入れるためにポップにつきまとっていたオート。でも少しずつ、ポップと一緒にいると幼い頃に亡くしたお母さんの愛情を思い出し、愛おしく感じるようになります。
ちょっとおバカで粗野な感じだけど、本当は一生懸命で誠実なオート。ストロングの演技がそのオートの役柄にとても合っていて、めちゃくちゃ光っています。GMMTVとかOne31のドラマシリーズみたいに有名な大人気俳優さんが勢揃いするのも魅力的ですが、このドラマみたいに無名に近い俳優さんたちが光る演技をしているのを見るものすごくイイ!
夢か現実か、ゴールか通過点か
一方のポップは、CAになる夢を目指して一緒に勉強してきた彼女モーがいる。CAに合格してキャリアをスタートさせたモーのことが羨ましくもあり、いつか自分もCAに合格して十分な収入を得て家族を養いたいとも思っている。なので、ケータリング会社への就職はゴールではなく通過点。でも少しずつ、自分にはCAよりもケータリングの仕事のほうが向いているんじゃないかとも思い始めます。
さらに、最初は鬱陶しいと思っていたオートのことも、一緒にいると実は楽しいことに気づき、それを失うことにもとまどいを感じるように。でもそれはモーとの関係をはっきりさせることでもある。自分はゲイじゃないと思っているのに、周りは自分のことをゲイだと思っていることにも困惑。まさに Coming of Age なポップ。大人になってもまだまだ青春。
飛行機を見上げるか、飛行機に乗るか
ポップとオートの2人はよく会社の休憩時間に、空港から飛び立つ飛行機が見える池のほとりで過ごすんですが、このシーンが本当に最高!互いに腕まくらしながら昼寝したり、背中合わせで頭を方にもたれかけたり。そんなある日、ポップがオートに訪ねるのが「将来どうしたいか」ということ。
オートは「自分みたいな人間は先のことなんて考えない」と言いますが、最近うまくいっていない彼女モーとのこと、CAの採用試験のこと、収入を増やして家族を養うことなどなど、先々のことを考えてなかなか答えが出ない…。実際、人生ってこうしたことの連続です。
そんななかでも比較的はっきりとわかるのは、何をしている時が楽しいか、誰といる時が嬉しいかということ。ポップは次第に、オートと一緒にいる時の自分が楽しいことに気づきます。
プリーとランボー
ポップとオートとは対照的に、大人のBLを演じているのがCAのプリーと同僚CAのランボー。この2人は心の底から愛し合っていたはずなのに、ランボーとミャンマー人女性ベルとの親が決めた結婚話が動き出してしまったことで、あっという間に気持ちがすれ違ってしまいます。
亀裂が走った関係が崩れ落ちるのはとても速く、プリーはランボーを遠ざけ、ランボーはその寂しさから他の男と遊んでしまう…。プリーはプリーで頑固すぎるし、ランボーはランボーで軽率すぎる。人間関係の歯車ってのは、ほんの少しズレるだけでどんどん意図しない方向に進んでしまう…。
プリー役はミュー・スパシット・ジョンチーウィーワット(Mew Suppasit Jongcheveevat)、ランボー役はアート・パクポーン・ジュアンチャイナット(Art Pakpoom Juanchainat)がそれぞれ演じています。おそらくこのドラマのキャストの中ではプリー役のミューが一番有名みたいです。そして泣いてばかりのランボーがめちゃくちゃカワイイ…。
OST Minibus「流れ星」
Minibus(ミニバス)が歌うこのドラマの主題歌「流れ星」(日本語訳は定かではありません!)。最初はさほど印象に残る歌とは思わなかったんですが、シリーズが進むにつれて、実はこのドラマのゆっくり静かに進んでいく感覚にとてもよくマッチしていることに気づきました。そして、ドラマとシンクロする歌詞がとってもイイ!
空の星、僕と君、いつ終わるかわからない。でもこの愛には意味がある。君をどれだけ待っていたかわかったんだ。さよならを言う日も君を抱きしめるだろう。
空の星よ、願いを聞いて。僕たちが離れないように。この愛が一生続きますように。君をどれだけ待ってたかわかったんだ。僕と君にさよならなんてない。
この歌を歌っているMinibus(ミニバス)は、ポップ、オート、ランボー、プリー、ニック(?)とキャストが歌ってるんですね。どうりで、あまり歌が上手な感じはしない!けど、ドラマの優しい世界観が伝わってきてそこがまたイイ!本当の愛との出会いは、幾千の星が輝く夜空で流れ星を見つけるくらいの奇跡、なのかな…。
続編ファイナル・コールへ
日に日に近づくポップとオートの関係はどうなっていくのか?ポップは自分の気持ちに正直になれず、自分の将来もどうしたらいいのか迷い、答えが出せないままシリーズは終了!と思ったら、この続きは続編「What The Duck: FINAL CALL / ホワット・ザ・ダック:ファイナル・コール」(2019年)へ!
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