おすすめ度:★★★★★ 人生やり直せるなら何がしたいか考えてしまうドラマ!
GMMTVのタイドラマ「55:15 NEVER TOO LATE」(2021年)を見ました!55歳の大人5人がある日突然、目が覚めたら15歳の自分に若返ってた!というちょっとファンタジーなコメディドラマ。55歳になるまで成功も失敗も、やり遂げたこともそうでないことも、いろいろ抱えて生きてきた人生で、ある日突然「若返る」というおかしな変化が。
生きていれば誰しも「あの日に帰りたい」と思うことは何度もあるけど、実際に若返ってしまうとそれはそれで大変!そんな5人が元の自分に戻るまでの3か月間を描いたドラマ。すべての壮年期の人たちに見てもらいたい愛すべき作品!
好きな女の子を守る約束が果たせなかったサン
15歳チームで中心的存在なのが、実力派ナノン・コーラパット・クッパン(Nanon Korapat Kirdpan)が演じるサン。サンは15歳の時、学校でのいたずらが過ぎて退学処分になってしまい、その夜に両親とケンカしたままカバンひとつで家を出てしまった。
大好きな女の子プリムには「成功して迎えにくる」という置き手紙を残したまま、声優の仕事が忙しく大人になるまで連絡をとることさえなかった。一方のプリムは夫との離婚を経験し、傷心していた。今度こそプリムを守りたい、約束を守りたいと思うサン。でも姿は15歳…。
ところで、さすが数々の人気ドラマで主役を演じるナノン。15歳チームではほかの4人に比べて、演技力が頭ひとつ飛び抜けている感じがします。15歳で55歳を演じるって、結構大変だと思います。大人っぽいセリフやしぐさが浮いてないのって、5人の中ではナノンだけかも…!
もう一度ステージに立ちたい歌手ジャヤ
ドラマの初回から最終回まで流れ続ける80年代ポップスを歌っているのがプローイ・カンヤラット・ルングルーン(Ploy Kanyarat Ruangrung)演じる歌手のジャヤ。若い頃に歌った歌が大ヒットしたまではよかったが、55歳になった彼女はすでに「終わった歌手」のレッテルを貼られて苦悩していた。
そんなジャヤが「ティーンのジャヤ」として再起をはかるも時代はすでに2021年。人気のポップスも様変わりするなか、彼女は再び歌手として人気を集めることができるのか…。
どうしてもボクシングを続けたいテップ
5人の中で一番まともな大人に見えるのが、ケイ・ラットシティチャイ(Kay Lertsittichai)が演じるテップ。孤児院で育ったテップはケンカっぱやいことをいつも叱られていたが、それがきっかけでボクシングジムを経営する里親に息子として迎え入れられることに。
家族のいないテップに愛を教えてくれたジムの存続をかけて、15歳の体でボクシングの大会に出ることに。勝って手にした賞金でジムの借金を返済し、里親として自分を愛してくれたお父さんへの恩返しはできるのか…。
死ぬまでにしたいことを実現したいジニー
55年間、生徒のことだけを考えてひたすら真面目に教師の仕事に専念してきたのが、ヴィウ・ベンヤーパー・ジーンプラソーム(View Benyapa Jeenprasom)が演じるジニー。55歳のジニー(ジャルニー)はアルツハイマーの父の面倒を見ながら暮らしていたが、ある日病院で子宮頸がんの宣告を受けることに。失意の中で起きた突然の若返り。
15歳のジニーの体からは癌の兆候は消えていたが、体調は55歳と変わらなかった。若返ったジニーが始めたのは、これまでやってこなかったことを集めた「死ぬまでにしたいこと」リストをひとつずつ実現すること。エレベーターでおならしたり、理由もなく「バカヤロー」と叫んだり、誕生日のパーティーを開いたり、誰かに恋をしたり…。
好きな人に自分の気持ちを伝いたいポール
5人の中で最も愛すべきキャラが、カオタン・タナワット・ラッタナキットパイサーン(Khaotung Thanawat Ratanakitpaisan)演じるポール。母親から引き継いだレストランを経営し、そこでピアノをひく男性に20年間ずっと片想いをしている。
BLドラマが大人気の今とは違い、ゲイであることが否定されてきた時代を生きてきたポールは、好きな人に好きだと伝えることなど到底できなかった。そんななか突然起きた若返りは、ポールに自分らしく生きる勇気を与えてくれた。そして、愛し愛されることの素晴らしさを知り、ずっと抱えてきた思いを伝えようと心に決めるが…。
もう一度あの頃に戻れたなら
なんだ、か年をとるたびにふと思う。「もう一度あの頃に戻れたら…あれをやるかわりにこれをして、そして今度はそれをやり直して…」と。もちろん時間は戻らないし、歳は日々とっていくだけ。白髪だって増えるし、体だって老いていく。このドラマは誰しもふと思ってしまうそんな思いをとても素敵な人間ドラマに仕立て上げています。
全体的にノスタルジックで、ちょっぴりファンタジー。恋愛だったり、生き方だったり、挑戦だったり、生きるって成功よりも失敗が多いものだし、満足よりも後悔が多いもの。年を重ねればそんな失敗や後悔も増えていく。
サンやジャヤたち5人はタイムリープして時間をさかのぼった訳ではなく、今の世界で体だけ若返るという体験をとおして、今を生きる自分のためにできること、過去の自分と向き合うために今やらなければならないことを突き詰め、ひとつずつ実行していく。
こういうことって年齢が上がれば上がるほどできなくなっていくもんなんですよね…。15歳になった5人は何をするにも「遅くなんかない!」って教えてくれる。それは15歳だからできたこともあるかもしれないけど、元々彼らが55歳でなかったらきっとできていないと思う。
その意味で、何をやるにも年齢なんか関係ない。やり残したことがあったら、やってみよう。誰かに言えなかったことがあるなら、伝えてみよう。GMMTVのタイドラマ「55:15 NEVER TOO LATE」(2021年)は、そんな前向きなチカラをくれる素晴らしい作品です。
80年代ノスタルジック
このドラマの主題歌を歌っているのが、ポール役のカオタン。ノスタルジックなのに今風でとっても新しいアレンジのメロディ。すごいですね、T-POP…。
あわせて観たい作品
このドラマに出演しているスターたちが、全員ではありませんがほとんど勢揃いして出演しているのがこちらのドラマ「Blacklist / ブラックリスト」。GMMTVのテイストとは少し異なるサスペンスドラマです。懐かしい顔がいっぱいでなんだか嬉しくなってしまいます。それがまたGMMTV作品のいいところ!
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