タイBLドラマ「Bad Buddy Series / バッド・バディー」（2021年）GMMTV おすすめ キャストとあらすじ

おすすめ度：★★★★☆　タイBL版ロミオとジュリエット！

GMM TVの「Bad Buddy Series / バッド・バディー」（2021年）を観ました！隣家に住む幼なじみの少年２人が、親同士の因縁で常にライバル（敵）として育つ一方で、学生生活や音楽を通して互いに心惹かれていく青春BLドラマ。

シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を現代風かつタイBL版にアレンジしたような作品で、オーム・パワット・チットサワンディ（Ohm Pawat Chittsawangdee）とナノン・コーラパット・クッパン（Nanon Korapat Kirdpan）の演技が光るとってもおすすめのドラマです！

GMM TVの公式YouTubeチャンネルで無料配信

なんとうれしいことに「Bad Buddy」シリーズは、制作元のタイのGMM TV公式YouTubeチャンネルで無料配信されています！残念ながら今のところ日本語字幕はありませんが、英語字幕で見ることができます。日本の動画配信サイトでも有料配信されています。

キャストにオーム＆ナノン

パット役をオーム・パワット・チットサワンディ（Ohm Pawat Chittsawangdee）、プラン役をナノン・コーラパット・クッパン（Nanon Korapat Kirdpan）が演じています。

「He's Coming To Me～清明節、彼は僕のお墓の隣にやって来た」（2019年）ではまだ少年っぽいあどけなさが残るかわいい感じのオームでしたが、今作品ではすっかり大人になった姿で見事に等身大の大学生を演じています。そんなオームの俳優としての成長も見られるドラマ！

親同士がライバルの家に育ったパットとプラン

主人公の2人パットとプランは、親同士がとても仲が悪く、子どもの頃から隣同士に住んでいながら、いつもそれぞれの両親から「仲良くしてはいけない」と言われ、ケンカばかりしていました。

それでも子どもの頃から一緒に遊んでいた2人は、親の目を掻い潜って、自宅２階から互いの部屋に行き来したり、学校では一緒にバンドを組んだり楽しい時間を過ごしていたのですが…。

大学で再開するもまたライバルに

ドラマは2人が大学生になったある日に再会するところからスタートします。高校時代、クリスマスイベントで、パットと一緒にバンド活動をしているところを親に見られてしまったプランは、母親に別の学校へと転校させられてしまい、それ以来3年間、2人は音信不通に。

パットは工学部、プランは建築学部へとそれぞれ進んでいきますが、進学先は実は同じ大学で、友達のケンカの最中に運命の再会を果たすのでした。

再開してもライバルはライバル。またケンカの毎日が始まりますが、2人とも前より大人になった今回は少し違う…！

ケンカの後、薬局の前でLINEのIDを交換するシーンがありますが、どっちが先に友達に追加するかで揉めた挙句、同時に追加することに。

それさえも競い合う姿がカワイイのですが、そもそもなぜそんなにいがみあい、競い合わなければならないのか、そこが問題です。

世間の認識を変えていく、それは環境問題と同じ

このドラマの特徴のひとつに、環境問題を重要なシーンセッティングの端々に入れ込んでいるところだと思います。建築学部の研修旅行では、海辺の村でゴミを出さない暮らしを実践しているトンおじさんのところへ行き、ビーチのゴミ拾い活動などを行います。

タイのドラマでは通常、ビーチは静かできれいな場所として描かれますが、ここではペットボトルで溢れた汚れた場所（もちろん、それだけではありませんが！）でもあり、人が意識を変えて行動しなければ壊れていく環境の一部として表現されています。

また、パットとプランの友だちがケンカして壊した学内バス停の再建には、太陽光パネルを取り入れ、サステナブルなエネルギーシステムを取り入れます。

再建費用を工面するために、エコに力を入れる企業にアイデアをピッチするシーンもありました。急速に経済発展を遂げる現在のタイ社会を象徴しているよう。

さらにおもしろいのが、この環境保護を進めていくには人々の考え方を変えていかなければならないし、それには困難が伴い、たくさんの時間もかかる、周囲の正しい理解を得るには自分が自分を信じていかなければならない、といったメッセージが込められているところ。

これは環境問題を考える時だけでなく、ジェンダー平等やBLを語る時も同じなんですね。

2人は世界を変えられない、世界も2人を変えられない

実家のいざこざにうんざりして環境研修に訪れた海辺の街に行くパットとプランをあたたかく迎えてくれたトンおじさんとジュニア。

先が見えない環境保護活動に心が折れてしまわないのか、どうして活動を続けているのか、という2人の質問に、トンおじさんは「私ひとりの力では世界は変えられない。でも、それと同じように、世界も私を変えられない」という言葉を返してくれました。

パットとプランも同じで、2人で世界を変えることはできないかもしれないけど、同様に世界も2人を変えることはできない。

そう、だから、親同士がいがみあっていようと、世界が受け入れずとも、2人は2人のままでいいんです。一人ひとりが同じ思いでいれば、世界はいつかきっとよい方向へ。なんとも現実的で、深い…。

ちなみにですが、ビーチのシーンでジュニアとともにいい味を出していたトンおじさんは、実は、この作品のコーム監督（Khom Kongkiat Khomsiri）だそうです！

タイBL版ロミオとジュリエット

このドラマ自体が「宿敵」とも言うべき敵対する家に生まれた2人の恋愛を描いた「ロミオとジュリエット」をタイBL版かつ現代風にアレンジしたストーリーになっていますが、その劇中で、建築学部のファンドレイジングイベントとして、パットとプランたち学生らがBL版「ロミオとジュリエット」を公演するシーンが出てきます。

なので、最初からロミオとジュリエットをモチーフにした作品だったんだなと納得。それでも現代風のアレンジが自然で、とてもいい！

大学卒業後のパットとプラン

一方で、このドラマは12話完結とほかのドラマシリーズに比べれば少しだけ短いので、ドラマ後半の家同士の雪解けからハッピーエンドに向かうまでの道筋がやや荒い感じになってしまっているのが残念なところ。

大学卒業後にプランはシンガポールで建築家の仕事をし、高校の同窓会に帰国しますが、パットとプランの約束で、付き合っていることは2人だけの秘密にし、家族や友だちには別れたことにしたり、前後の文脈や監督の意図がイマイチよくわからないところもあります。

ナノンが歌うOST OUR SONG

最後にナノンが歌うテーマソング「Our Song」をチェック！この歌大好き！

とはいえ、「Bad Buddy Series / バッド・バディー」は、パット役のオームと、プラン役のナノンが若さとエネルギーあふれるとてもいい演技を見せてくれていて、エピソードが進んでいくにつれてワクワク感が増していくとてもおすすめの作品です！